紅子「あ~あ、明日から私も社会人かあ、頑張らないとね~
それにしても、私にプログラマなんてつとまるのかしら…」
白箱「悩める少女よ、ワタシに任せなさい!」
紅子「アンタ誰?」
白箱「よくぞ聞いてくれました、私は通称『限りなく白に近いホワイト』
ホワイトボックスよ!」
紅子「『限りなく白に近いホワイト』って、結局、白じゃん
意味がわかんない!」
白箱「むむむ、アタシの矛盾点を5秒で見抜くとは、アナタただ者ではないわね」
紅子「普通だれでも気づくでしょ!」
黒箱「ははは!賢い少女よ、我が輩に任せるのだ!」
紅子「こんどは誰?」
黒箱「よくぞ聞いた!我が輩こそは、『やるせないほど黒に近いブラック』
ブラックボックスだ!」
紅子「『やるせないほど黒に近いブラック』って、どういう意味よ!
なんで黒い事を説明するのにやるせなさが出て来なきゃいけないの?
しかも、『黒に近いブラック』って、結局、同じ色じゃん!」
黒箱「ぬおお!我が輩の痛いところをミリ単位の正確さで突いてくるとは
お主、ただ者ではないのでしょうか?」
紅子「なんで、アタシに質問するのよ!知らないわよ!」
黒箱「まあよい、これからプログラマを目指そうとするお主に、教えて
おきたい事がある!」
紅子「なによ?」
黒箱「プログラムのテスト技法には『ホワイトボックステスト』と
『ブラックボックステスト』があるのだ!」
紅子「それがどうしたのよ!」
白箱「『ホワイトボックステスト』とは、ブロクラムの内部動作について
検証するテストで開発側が行うのよ!」
黒箱「『ブラックボックステスト』とは、出力された結果のみに着目した
テストで、システムアドミニストレータなどのユーザサイドが参加
して行うのだ」
紅子「さっきから聞いていれば、なんなのアナタたち、藪から棒に!」
白箱「アナタ、まだわからないの?『ホワイトボックステスト』とは
プログラムが『何の仕事を』『どうやって』行うかを知っている
人が行うテスト技法の事なのよ。だから、主にプログラムを作った
本人が行うの」
黒箱「そして、『ブラックボックステスト』は、プログラムが
『何の仕事を』行うかだけを知っており、『どうやって』行うか
を知らない人が行うテストの事なのだ、だから、プログラムを
作ってもらった側が、要求通りに動く事を確認する為の
テスト技法なのだ!」
白箱「『ホワイトボックステスト』は、具体的には以下の手法で
テストを行っていくのよ!」
・命令網羅テスト:プログラム中のすべての命令を1回以上実行するように
テストする。
・判定条件網羅テスト:すべての判定条件の真と偽を1回以上実行する
ようにテストする。
・条件網羅テスト:すべての判定条件で、真と偽のすべての組み合わせ
をテストする。
・判定条件/条件網羅テスト:判定条件を行い、さらに、判定条件網羅を
組み合わせてテストする。
・複数条件網羅テスト:すべての条件の真と偽の組み合わせとその分岐を
テストする。
黒箱「そして、『ブラックボックステスト』は、具体的には以下の手法で
テストを行っていくのだ!」
・同値分割:正常データ(有効同値クラス)と、範囲外のデータ
(無効同値クラス)からテストデータを使用して行うテストです。
・限界値分析:正常データの最大値と最小値、異常データの最大値と
最小値を使用して行うテストです。
・因果グラフ:入力値と出力値の因果関係を使ってテストを行う方法
紅子「あ~、あのさ、なんか必死にアタシに教え込もうとしてくれるのは
いいんだけど、取りあえず、あんた達なにものなの?」
白箱「あんたも、ニブイわねえ、アタシは『限りなく白に近…
紅子「ああもう~それはわかったから、別の情報を述べて頂戴!」
白箱「あらそう?じゃあ、アタシは『限りなく20代に近い女』よ」
紅子「と言うことは20代じゃないんだ」
白箱「う…」
紅子「それに、そこの黒いマントにシルクハットという、時代錯誤も
甚だしいアンタ、アンタはなにものなの?」
黒箱「我が輩か?我が輩は『限りなくダンディーに近い紳士』だよ」
紅子「と言うことは確実にダンディーとは言えず、自分でそれを認めている
オジサンということね」
黒箱「ぬぐう…」
白箱「さっきから聞いてれば、私たちが折角解説してあげているのに
随分な態度なのね」
紅子「だって、誰も解説してくれなんて頼んでないでしょ!」
白箱「キー!アンタなんか『限りなく恩知らずに近い小娘』よ!」
紅子「だから、『限りなく恩知らずに近い』って事は、やや恩知らず
だけど、それほどでもないって事で、小娘って事はアタシが若いって
事を認めてる事になるじゃない、自分の首、どんどん締めてるわよ」
白箱「ムキー、なにこの小娘!チョベリグよ!」
紅子「それじゃ褒め言葉になってるわよ!若者ぶって喋るのはいいけど
意味をわかって言わないと!」
白箱「うぐう…」
紅子「更に言わせて貰うと、なんで、アンタは普通にウェディングドレス
を着てるのよ!」
白箱「白無垢と迷ったんだけど…そっちの方がよかった?」
紅子「そういう問題じゃない!なんで、場所柄をわきまえない格好を
しているのかを聞いているのよ」
白箱「だって、『限りなく白に近いドレス』だから…」
紅子「さらにそうゆう問題じゃない!白けりゃいいってもんじゃないでしょ!」
白箱「なによなによ、アンタなんて、MK5よ!」
紅子「その言い回し自体が古いわよ!しかも、何で5秒後に
アタシにマジ恋しないといけないのよ?」
白箱「うわ~ん、パパ~、この娘にイジめられたの~」
黒箱「よしよし、お前のブーケトスは、お父さんが受け取ってやるからな」
紅子「アンタ達、親子だったの?」
白箱「そうよ!アタシ達、親子はプログラムのテスト方式を世に広める為に
日夜、あきるの市を回っているのよ」
紅子「狭っ!なんで、あきるの市限定なのよ!」
白箱「失踪したお母さんが、あきるの市で目撃されたというタレコミ情報が
入ったからよ」
黒箱「おお、娘よ!そんなことまでカミングアウトするのか!」
紅子「ははあ、なるほど、お母さん、あんた達の活動にあきれ果てて、
出て行っちゃったのね~」
黒箱「それは違うぞ娘さん」
紅子「どう違うのよ?」
黒箱「家内は、我々の布教活動の甘さに憤慨して、より過激な啓蒙活動へと
身を転じたのだ」
紅子「そっちの方が、なお悪いわよ!」
白箱「お父さん、そういえば、この娘、お母さんの若い頃にそっくりだわ」
黒箱「おお、言われてみればその通りだ、どうだ、キミ、私達のママに
なってくれ」
紅子「はあ?」
黒箱「頼む、前々から思っていたのだが、我々にはツッコミが不足しているのだ」
紅子「イヤです!断じて」
白箱「私のママになってくれたら、このブーケ、あげるわ」
紅子「あわわ、いらないわよ!」
黒箱「おお、目を白黒させておる、そしつ充分だ、今日からキミの愛称は
『限りなくグレたグレー』だ、宜しく頼んだよ!」