口ーズ
「来ないで、飛び降りるわよ!」
ジャッカル
「ちょっと待って、ゴソゴソ」
口ーズ
「何やってるの?」
ジャッカル
「君の飛び降りる様をスケッチしようと思ってね」
口ーズ
「スケッチする場所とタイミングが全然違うでしょ!」
ジャッカル
「そうか、じゃあ君だけは生き延びるんだ、口ーズ」
口ーズ
「それも早すぎ!まだナニも起こってないでしょうが!」
ジャッカル
「ああ、船が沈む前に、思う存分写真を撮りまくりたかった」
口ーズ
「アンタ絵描きじゃなかったのかよ!」
ジャッカル
「ナニ言ってるんだい、今からの時代はデジカメさ、
撮った写真はJPEG形式で大量保存でウマ~だね」
口ーズ
「こんな時代にJPEGがあるわけないでしょ!
…ハッ!…な、なにかしらそのJPEGっていうのは?」
ジャッカル
「口ーズ、今、明らかに訳知りな様子が…」
口ーズ
「うるさいわね!さっさと解説しなさい」
ジャッカル
「でも、今、この船…巨大な氷山に衝突したんだけど…」
口ーズ
「どうでもいいのよ!そんなこと!」
ジャッカル
「…え、ああ、JPEGっていうのは『ジェイペグ』という読み方で
『ジョイント・フォトグラフィック・エキスパーツ・グループ』
の略称なんだよ、まあ一言でいうなら静止画像データの圧縮方式の一つ
だね。ISOによって制定された国際基準方式で、専門家組織の名称が
そのまま使われているんだ。
画像のデータを若干の画質劣化覚悟で圧縮する事で圧縮率を高める事が
できて、極力人間の目にはわからない様に工夫がされているんだよ、
圧縮する場合はどの程度劣化させるかを指定して、圧縮率を上下する
ことができるんだけど、圧縮率はだいたい1/10~1/100程度だね。」
口ーズ
「じゃあ次はGIFの説明よ、早く!」
ジャッカル
「…なんで、君がGIFを知っているのかな~?」
口ーズ
「早くしてよ、船が沈んじゃうでしょ!」
ジャッカル
「だったら逃げればいいのに…」
口ーズ
「今日のコラムのテーマは画像の圧縮形式だから、JPEGだけで
終わっちゃ意味ないでしょ!」
ジャッカル
「なんで登場人物のボクらがそんな心配をしなきゃいけないんだか…
GIFっていうのはJPEGと共にインターネットで標準的に
使われる画像形式で、グラフィックインターチェンジフォーマット
の略なんだよ、JPEGと違って色の数が256色に限定してあって
その代わりJPEGを上回る高い圧縮率を得る事ができるんだ
更に動画を保存できるアニメーションGIFや、透明色を指定して
背景イメージと重ね合わせることができるトランスペアレントGIF、
全体をダウンロードしなくてもイメージの確認ができる
インターレースGIFなどの拡張仕様もあってなかなか便利な
画像形式なんだよ」
口ーズ
「あっ!」
ジャッカル
「どうした!」
口ーズ
「忘れてた、ほら、船首でサボテンしなきゃ!」
ジャッカル
「組み体操かよ!」
口ーズ
「いくわよ!はい、ポーズ!」
ジャッカル
「よいしょっと、ムードもへったくれもないんだね!」
口ーズ
「船が沈んでいるのに、ロマンも何もあったもんじゃないわ」
ジャッカル
「それ以前の問題だよ、さっさと逃げようよ」
口ーズ
「ダメよ、その前にPNGの説明をしなさい!」
ジャッカル
「その情熱は、ドコから生まれるんだか…
PNG(ピング)って言うのは、JPEGやGIFに代わって
WWW上でじわじわ広まっている画像フォーマットのことだよ。
GIFで、特許がらみのゴタゴタした問題がおきて、GIFが
使いづらい時代にライセンス料のいらない画像形式として重宝されたんだ
PNGは、フルカラーの自然画を劣化無しで圧縮でき、WWWに関する
標準化団体W3Cによって推奨されている画像形式なんだ。」
口ーズ
「よし!よくやったわ、デカプリ男」
ジャッカル
「その呼び方は、やめてくれよ」
口ーズ
「いいのよ、デカプリ男、逃げるわよ」
ジャッカル
「どうやって?もう船は8割がた沈んでるよ」
口ーズ
「アイルランドの民謡を踊るのよ!」
ジャッカル
「遅いよ、それは物語前半に済ませておこうよ!」
口ーズ
「じゃあマツケンサンバでもいいわ!」
ジャッカル
「支離滅裂だよ!」
口ーズ
「仕方ない、金の力で解決よ」
ジャッカル
「それじゃ単なる悪役だよ!」
口ーズ
「シュワッチ!」
ジャッカル
「飛べるわけないだろ!ウルトラマンかよ」
口ーズ
「ワープよ!ワープ」
ジャッカル
「この船、宇宙戦艦じゃないから!」
口ーズ
「地球のみんな、オラに元気を」
ジャッカル
「元気玉作っても、意味無いから~!」
口ーズ
「しまった、ネタ切れよ~」
ジャッカル
「ああ、ダメだ!沈む~」
口ーズ
「死ぬ前に、よっちゃんのスルメイカが食べたかった」
ジャッカル
「マニアックすぎるよ~」
口ーズ
「程良い酸味がたまらないのよ~キャ~」
ジャッカル
「ん…あれ、あれれ沈まない、口ーズ、僕たち沈まないよ、助かったんだ」
口ーズ
「なんで、私たち浮いているの?」
ジャッカル
「う~ん、どうやら僕たち、存在自体が『浮いていた』みたいだね」