兄「ラーラード、ラーラード、スクロールローリスク…」
弟「うわっ!兄ちゃんなんだよ、それ」
兄「呪文だよ」
弟「呪文?スゲエ!なんの呪文?」
兄「炎の魔法だ見てろ、『Fire』!」
弟「おわあ!火がでた、カッチョいい!『ファイヤ』の魔法か!」
兄「違うよ、『フィレ』の魔法だ」
弟「『Fire』をまんま読むのかよ、兄ちゃん、名前がダサイよ」
兄「うるさい、威力は、のし紙付きだ」
弟「兄ちゃん、威力にのし紙付けてもしょうがないよ、折り紙をつけなよ」
兄「ああ、そうとも言うな」
弟「兄ちゃん、他に呪文は無いの?」
兄「あるに決まってるだろ!」
弟「スゲエや、見せてくれよ」
兄「よし、じゃあ『PDA』の呪文だ!」
弟「わくわく」
兄「じゃあ呪文の詠唱いくぞ!『パーソナル・デジタル・アシスタンス』!」
弟「兄ちゃん、今のは何の呪文だったの?いかずちの呪文かい?」
兄「違う、『個人用携帯情報端末』だ」
弟「そんな変な呪文いらないよ!」
兄「じゃあ、『SMTP』の呪文はどうだ」
弟「おお、見たい見たい」
兄「さっそく詠唱だ『シンプル・メール・トランスファー・プロトコル』!」
弟「で、兄ちゃん、何の呪文なの?」
兄「『電子メールを送信するための標準プロトコル』」
弟「なにも起こらないじゃんよ!」
兄「お前が怒ったじゃん」
弟「もっと、まともな呪文を見せてよ!」
兄「『MIDI』なんかいいんじゃないかな?」
弟「今度は大丈夫なの?」
兄「ああ、大丈夫だ、むしろ危険かもしれないから、鼻を閉じていろいくぞ!
『ミュージカル インストゥルメンツ デジタル インターフェイス』!」
弟「で、なんで俺は鼻を塞いでないといけないのかな?」
兄「ああ、スマン弟よ、今の呪文は『電子楽器の演奏情報をやり取りする
ための世界共通のデジタルインターフェイス』の呪文だ」
弟「危険度ゼロじゃないかよ!」
兄「弟よ、終わった事は忘れろ。今度は『MPEG』の呪文だ
今度は、お前の健康を害する恐れがあるから、
ブルーワーカーで鍛えてろ!いくぞ!
『ムービング・ピクチャー・エキスパーツ・グループ』」
弟「何の呪文?」
兄「『ISOにより設置された専門家組織の名称でもあり、そこで策定
された映像データの標準的な圧縮方式規格』の呪文だ!」
弟「…で、なにも起こらないのは、おいとくとして
俺はなんでをブルーワーカーで運動するハメになってるんだ?」
兄「モテモテマッチョへの道を切り開く為だよ、
お前は魔法使いにはなれないからな」
弟「どっちもなりたくないんだけど」
兄「そうか、じゃあ『RAID』の呪文も披露せねばならんな」
弟「話も噛み合ってないんだけど」
兄「弟よ、それはお前の邪念ゆえだ、邪念を振り払う為、
シイタケの栽培を開始しろ!それでは詠唱行きマ~ス。
『リダンダント・アレイ・オブ・イニクスペンスィブ・ディスク』」
弟「………」
兄「なんの呪文か知りたくないのか?」
弟「知りたくないし、キノコの栽培もしたくない」
兄「ああ、そうか、『RAID』は『複数のハードディスクをまとめて
1台のハードディスクとして管理する技術』の呪文なんだ」
弟「ああそうよかったね」
兄「俺の呪文にシビれて来ただろ?」
弟「足ならね」
兄「さあ、続いては『CDMA』の呪文だ!
お前は俺の苦労を労って、草野球チームを結成しろ
じゃあ、詠唱行っちゃうよ~ん。
『コード ディビジョン マルチプル アクセス』」
弟「ハア~、疲れてきた…」
兄「呪文の内容を当然知りたいのだろう?」
弟「どうして、草野球チームを結成する事が、労いの意味に
なるのか?という事の方が知りたいよ」
兄「そうか、『CDMA』は『符号分割多重接続』の呪文だ
朝の小テストに出るかもしれないから、覚えておけよ」
弟「出来れば、速攻で忘れたいよ」
兄「ああそうか、『CSMA/CD』の呪文も披露して欲しいと
そういう事か。」
弟「人の言うことをちゃんと聞きなよ」
兄「『CSMA/CD』の呪文は、ちょっと長いからな、気合いが必要だ
お前は俺の気合いを高める為に、海に潜って初カツオを叩いて来い」
弟「初カツオを物理的に叩いて、何が得られるっていうんだよ!」
兄「バカだなあ、それこそ本当のカツオのタタキだろうが
では、呪文の詠唱、いくぞ!
『キャリア・センス・マルチプル・アクセス・
コリジョン・ディテクション』」
弟「…」
兄「『CSMA/CD』は、『衝突検出搬送波検知多重アクセス方式』
の呪文だ」
弟「聞いてないよ」
兄「どうした?なにか引っ掛かる事でもあるのか?」
弟「さっきのノリで言うなら、波平さんも立派なカツオのタタキ職人
だよね」
兄「ああ、あの人は、もはや『神』だ」
弟「なんで神なんだよ…」
兄「そうだ、最後の呪文を忘れる所だった」
弟「まだあるのかよ」
兄「バカヤロウ!『IEEE』の呪文を甘く見るな!火傷するぞ!
なんせ、究極の呪文だからな、お前も究極を目指して
ウ●コ味のカレーを食べろ!」
弟「それは『究極の選択』だろうがよ!だったらせめて
選択の余地を与えろよ!」
兄「喰らえ、究極の呪文『インスティチュート・オブ・エレクトリカル・
アンド・エレクトロニック・エンジニアーズ』」
弟「気が済んだか?」
兄「いや、まだお前がこの呪文の意味を聞いてない」
弟「ああ、そう、何の呪文なの?」
兄「『IEEE』はなあ、『米国電気電子学会』の呪文なんだぞ」
弟「へえ、それで?」
兄「長いから、覚えるのも、発音するのも大変なんだ」
弟「でも、なんにも発生しなかったじゃん」
兄「何を言う!ちゃんと発生したぞ」
弟「ウソコケ!なにが発生したって言うんだよ!」
兄「お前の心の中に、殺意が発生した」
弟「…」