ここは、戦国時代のDVD(デジタル・ヴァーサタイル・ディスク)国、
今まさに、この地でDVDの覇権を巡る争いが繰り広げられようとしていた。
【DVD-ROM軍】
殿「いけいけ~進むのぢゃ~」
兵「無理です殿」
殿「なぜぢゃ~?」
兵「われわれは、この戦いを傍観する事しかできません」
殿「だから、なんでぢゃ~?」
兵「なぜなら、われわれDVD-ROMは読みとり専用だからです」
殿「だから、黙って見守るしかないというのか~
儂らDVD-ROMはもっとも歴史が古いのぢゃぞ~
トラックピッチ(データの列の間隔)を狭く、ピット長(データを
記録した部分の長さ)を短くすることでやっと実現した約4.7GB
の大容量なのぢゃ~、CDの7倍の書き込み密度を持ち、
映画1本を楽々この身に取り込める栄光ある存在のはずぢゃ~
あまりにも理不尽じゃ~」
【DVD-R軍】
殿「ウッフッフ、DVD-ROM軍は相変わらずの傍観主義か…
この戦、我らDVD-R(レコーダブル)軍の勝ちじゃのウッフッフ」
兵「われわれは、読み込みはおろか書き込みだって可能でございますものね」
殿「ウッフッフ、そうだ、さらにDVD-Rは高い互換性を持っているので
自分で作成したDVD-RはさまざまなDVD機器で再生できるのだ!
他のDVD規格など一気にたたみかけてくれるわ。モノども、突撃準備だ!」
兵「殿!お待ち下さい」
殿「なんだ?」
兵「われわれDVD-R軍は、ディスクの同じ部分への記録は一度だけしか
書き換えは行なえません。よって、慎重に攻めなければなりません」
殿「なんだとう!それじゃ使いづらいではないか」
兵「仕方の無いことです、空きスペースに後から記録(追記)する事は可能
なので、それでよしとして下さい」
殿「ウッフッフ、我が軍は突撃こそが真髄、聞く耳もたん。
それ突撃~」
兵「殿~待って~それでは自滅です~」
【DVD-RW軍】
殿「ワッハッハ、DVD-R軍は、相変わらずの猪武者ぶりやな~」
兵「それにくらべて、ワテらDVD-RW(リライタブル)軍は
記録したデータを書き換えられ、1,000回以上くり返して記録や
消去が行なえるという、スキのない体制やからな~
まあ、消すときゃ丸ごと消さなあきませんけどな、そんなんは些細な話や、
ほな、殿、どど~んといきまひょか~」
殿「お前が仕切ってどうないすんねん、主人はワシや」
兵「せやったな~、な~はっはっは」
【DVD+RW軍】
殿「ワッハッハ、DVD-RW軍は、殆ど同じ性能を持っとるだけあって、
相変わらずワシらとキャラが被っておるのう~」
兵「そないな事はありませんわ、わしらDVDフォーラムでも認められん
アウトローですわ、殿ワシらがDVD-RWの連中とは違うっちゅうことを
見せつけてやりましょや~」
殿「ワッハッハ、せやの~、ワシらはアウトローやけども、DVD-RWよりも
書き込みは高速やし、フォーマット時間は短いし、既存ドライブとの高い互換性
も持ってんねんで~、このまま一気にいったるで~
他の連中んとこへ、カチ込みじゃ~」
兵「ほな、いきまっせ~」
【DVD-RAM軍】
殿「相変わらず、RWの連中は品がないですね」
兵「さようでございます。それに比べて、私どもDVD-RAM(ランダム・
アクセス・メモリー)軍は、そつがない」
殿「そうです、我々は数万回のくり返し記録や消去が行なえるほか、
記録したデータを確認するベリファイという機能があり、
高い信頼性を誇っています。さらにカートリッジに納めて外界の汚らわしさ
から身を守る事もできます。
よって、DVD-RAMは他の粗忽な連中とは違うのです。」
兵「しかも、エクスプローラーでドラッグ&ドロップするだけでMO、FD
感覚で手軽にデータの記録、消去、書き換えが可能ですからね」
殿「まさしく、完璧ですね。フフフ」
兵「ウウウ、先代のPDに、この光景を見せたいです」
殿「先代のPDは超マイナーな記録メディアの異端児だったからな
その流れをくむ我々がここまで登り詰めるとはな、感無量ですよ!」
兵「しかし、お気を付け下さい、DVD-RAMはDVD-ROMドライブや
DVDビデオ・レコーダーとの互換性が低いことが問題です。
あくまでもパソコンの外部記憶媒体としての用途なら非常に優秀ですが
DVD-RAMに記録した映画なんかをプレステ2等で再生する事は
できません。」
殿「その様なこと、恐れるにたりません、一気に他の規格を蹂躙しますよ、
我に続きなさい!」
【DVD-RAM軍 その後】
兵「殿!大変です」
殿「どうした?」
兵「DVD-ROMとDVD-R、さらに
DVD-RWとDVD+RWが手を結び、【DVD±RW軍】になって
しまいました!我が軍は圧倒的に不利です」
殿「ぬぬぬ、仕方ありません、我々も合流して【DVDスーパーマルチドライブ軍】
を結成しましょう」
兵「殿!それでは、敵がいなくなってしまいます、戦う意味がありません」
殿「むむ、これにて一件落着」