課長「社長、来年の新卒採用の件なんですが」
社長「おお、もうそんな次期か、今年はどうだ?
豊作になりそうか?」
課長「豊作も豊作、左門豊作です。
今年は個性的な連中が粒ぞろいですよ。」
社長「ほう、それは楽しみだな、我が社もリストラリストラで
99%の社員を削減したから、新しいイキのいいやつを
どんどん入れていかんとな。」
課長「いまや、社員は私と社長の二人だけですもんね、ははは」
社長「ハハハ、こやつめ、痛いトコつきおって」
課長「社長、さっそくですが、このα大出身のカレはどうですかね
カレは『基本情報処理技術者』をこの春、取得したそうです。」
社長「おお、よいなよいな、『基本情報処理技術者』は昔、第二種情報処理技術者
と呼ばれていた試験で、情報技術一般の基礎知識を身につけ、
プログラム開発の担当者としての実力を認定されたと見なされる試験
だからな。この資格をもっているなら、コンピュータの仕事に就く
にあたってなんら恥じることはない。」
課長「そうですね、ただ、彼はちょっと変わった趣味をもってまして。」
社長「なんだ?それは」
課長「ハイ、たまに物を囓るクセがありまして」
社長「はあ?」
課長「どうも、前歯がどんどん伸びてきて痒くなるので、そこら辺にあるモノを
手当たり次第にカジってしまうらしいんです。」
社長「ハムスターかそいつは!それじゃ我が社の備品はみんなボロボロ
じゃないか」
課長「あと、たまに人間もカジるらしいですね。」
社長「だめじゃん、そんなやつ、だいたいお前、そいつを採用して、
毎日囓られたいか?」
課長「とんでもない、嫌ですよそんなの」
社長「じゃあ、却下だな、他にはどんな若人がいるんだ?」
課長「ええっと、このβ短大出身の女の子はどうですかね
彼女は『システムアドミニストレータ』を取得しています。」
社長「おお、ナイスじゃな~、『システムアドミニストレータ』はコンピュ
ータの利用者の立場で、コンピュータを部門内で管理し、更に
エンドユーザの立場で情報化推進を行っていく事ができるからな。
なかなか悪くない。」
課長「そうですね、ただ、彼女は少し欠点がありまして。」
社長「なんだ、また何かあるのか?」
課長「どうも、彼女は霊感が強くて…」
社長「はあ?」
課長「ですから、彼女は天性の霊感の強さのせいで、あらゆる霊を呼び寄せて
しまうそうです。」
社長「彼女を採用したら我が社は一気にお化け屋敷になるのか…
俺…お化けダメだから却下な」
課長「わかりました、ではこの人材はどうでしょう、中途採用の応募ですが
『ソフトウェア開発技術者』を取得している若手プログラマですよ」
社長「おお、『ソフトウェア開発技術者』かあ、よいぞよいぞ!
情報システム開発プロジェクトにおいて、効果的なプログラムの
開発を行うシニアプログラマの証じゃな
これを取得している人間は開発チームのリーダを任せられる程の
スキルがあるというからな。」
課長「昔はこの資格は『第一種情報処理技術者』と言われていましたね。
この資格をゲットするとはかなりの勉強家でもあるんでしょう
しかし…」
社長「わかっている、皆までいうな、何か問題があるんだろう?」
課長「はい、その通りです。悪い事ではないと思うんですが…
彼は実はヒーローらしいんです。」
社長「なんだと?」
課長「なんだか、悪い怪獣が現れたら変身して戦いに行かないといけない
らしいんですよ。仮面被ってバイクに乗って。だから、悪者が
現れたときは、職場を抜けて、跳び蹴りかましに行くから、
その都度外出許可を出して欲しいと言うことです。」
社長「う~ん、社会の為にはそれでいいのかも知れないが、
大体このテのものは、職場にまで怪人の手が及ぶ事が多いからな~
今回はご遠慮頂こうかな。他にはおらんのか」
課長「こちらも中途採用の応募ですが、『アプリケーションエンジニア』
を取得した応募者がいますね」
社長「素晴らしいぞ!『アプリケーションエンジニア』は、システム
開発プロジェクトで、業務要件分析からシステム設計、プログラム開発、
テストまで全てにおいて中心的に活躍できる上級システムエンジニア
の称号じゃないか!すぐに採用だ!」
課長「しかし、問題は彼は人間ではなく『アブラゼミ』と言うことなんです」
社長「はああん?なぜアブラゼミが『アプリケーションエンジニア』に
合格できるんだ?」
課長「幼虫時代に努力を重ねたようですね。ただし、彼が言うには、
成虫になったら入社できるが、寿命の関係で7日しか働けないむね
了承して欲しいという事らしいです」
社長「問題ありまくりだ、7日だったらたった1週間じゃないか」
課長「ウチは土日休みなので実質5日ですね。」
社長「却下却下~。せめて1年以上働ける者を採用してくれ~」
課長「『テクニカルエンジニア』の全取得者の応募もあります」
社長「『テクニカルエンジニア』といえばシステムの基盤となる環境周り
のスペシャリストだなネットワーク、データベース、システム管理、
エンベデッドシステム(マイクロプロセッサ)のいずれかを得意とする
IT界の『匠』たちの称号だ。」
課長「しかし、彼は相当のマザコンらしく、『ママと一緒じゃなきゃ入社できない』
と言っております。」
社長「ウギャ~、会社ぐらい独りで来い!次!」
課長「『情報セキュリティアドミニストレータ』からの応募もあります!」
社長「セキュリティ管理のスペシャリストか、どんな奴だ」
課長「『全て、ヒ・ミ・ツ』だそうです」
社長「隠しすぎだ~!次!」
課長「『プロジェクトマネージャ』からの応募もあります!」
社長「システム開発プロジェクトの総責任者として、プロジェクト遂行を行う
プロジェクトリーダの称号だが…どうせ、なにか一癖あるんだろ」
課長「はい、『私だけを一生見てて、浮気はダメよ、お小遣いは1日千円ね』
だそうです」
社長「ウキー!根本的な部分を勘違いしてる~からダメー!次!」
課長「『上級システムアドミニストレータ』からの応募もあります!」
社長「利用者部門の情報推進化リーダーたるビジネススペシャリストか
で、コイツはなんと言っている?」
課長「はい、『今宵の村正は血を欲しているのよ』だそうです。
社長「ひええ、そいつは昨日のコラムの女だ~。大却下、次!」
課長「『システムアナリスト』からの応募もあります!」
社長「情報戦略の立場からシステム開発プロジェクトの計画立案を行う
システムコンサルタントだが…こんどはなんだ?」
課長「はい、『@@あlksfhぁsd』だそうです・」
社長「ぐはあ!こいつバグってやがる~!次!」
課長「『システム監査技術者』からの応募もあります!」
社長「厳格なるシステムの監査官か、…こんどはなんだ?」
課長「はい、『メガンテ!』だそうです」
社長「ごああ!ダメだ、そいつはもう自爆している」
課長「社長、結局ひとりも採用しませんでしたね」
社長「ああ、結果的には一人リストラするだけだな」
課長「…え?」
*連絡事項:作者急病出張の為、2日程お休みします。ゴメンナサイ。
かわりに二日分のボリュームで作成するという、
余計なことをやっておきました。